漢方って奥深い!! コラム第二回 ≪虚実について≫
こんにちは。漢方のお話、第二回は、「虚実」についてお伝えさせていただこうと思います。
そもそも虚実とは、八綱(はちこう)→陰陽、虚実、寒熱、表裏、この相反する4種類の概念のうちの一つにあたります。この八綱は病を認識し、治療方針を診断していく上での基本となりますが、前回ご話いたしました「陰陽」との組み合わせで診ていったりします。
●虚実
質量の過不足を対象とした概念
●虚
「むなしい」「うつろな」の意味であるべきものがない空虚な状態
医学的には生体機能が減退し、生理的物質が不足した状態、つまりは正気が衰えた状態
●虚証
呼吸や語勢が弱い。自汗、下痢、小便頻数。筋肉の弾力性がない。痛む部を按じると軽快する。胃腸が弱くやせている。無力性体質の傾向がみられる。
陰・陽・気・津液・臓腑が弱まった状態で疲労しやすく体力が衰えており、疾病の後期や慢性の病の時に見られる。気が足りなければ気虚、陽気が足りなければ陽虚となる。
●実
「満ちる」「満たす」の意味でものがいっぱい詰まっている充実した状態
医学的には疾病に対する過剰な生体反応、生理的物質および非生理的物質の過剰な状態
●実証
呼吸や語勢が強い。無汗、便秘、小便の回数が少ない。筋肉の弾力性がある。痛む部を按じると増悪する。胃腸が丈夫で肥満している。生命力は旺盛。外邪の感受や於血・痰といった体内の病理産物によって起こる状態をいう。外邪が体内に侵入して邪気が強くなれば実証、寒邪が侵入して強くなれば実寒、外邪が裏まで入り込み熱を持てば実熱という。
漢方においては、扶正去邪(補虚瀉実)、つまり正気と邪気のバランスを見て補法により正気を補強したり、瀉法により病邪を除去して治療を行います。虚証と実証が両方ある場合(身体の抵抗力が低下しているうえ、病邪も存在している状態)は補瀉を両方行います。
ここで鍼と漢方藥の登場ですね。
補法とは身体の抵抗力(正気)が低下しており、病邪がそれほど強くないのに病気になる虚証に対して正気を補い、瀉法とは身体の抵抗力は十分あるが病邪が強すぎるため病気になる実証に対し邪気を排除するんですね。簡単に言うと身体にとっていならいものをのけて必要なものを補う、ごく自然にかなった方法というわけです。この見極めが大変難しい。
漢方はつくづく奥深いと思います。